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税理士 長嶋佳明
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相続税対策には早めに子供や孫に生前贈与をすると有利

遺言書は、相続税対策が必要な方の死後、ご自身の意思により財産を渡したい人に財産を分ける目的で作成されます。
生前贈与も遺言書と同じく、相続税対策が必要な方がご自身の意思により財産を渡したい人に財産を分けることができます。
遺言書も生前贈与も、ご自身の意思で財産を渡したい人に財産を分けることができるのですが、両者の大きな違いは、財産を分けるタイミングが「死後」なのか「生前」なのかという点です。

実は、生前贈与には遺言書にはないメリットが4つあります。
もちろん遺言書で財産を分けることも良いのですが、生前贈与も遺言書と同じ効果があり、さらに遺言書にはない有利な効果があるとすれば、生前贈与を検討することでメリットが大きくなるかもしれません。

1 . 子供や孫から感謝される

生前贈与は、当然のことながら相続税対策が必要な方の「生前」に行われます。
このとき「なぜ生前贈与をするのか」、その理由や想いを子供や孫に直接伝えることができます。

例えば、生前贈与を行ったときに、子供や孫から「ありがとう」と感謝の気持ちが伝えられることでしょう。
遺言書の場合でも子供や孫は「ありがとう」という気持があるとは思いますが、その想いを直接伝えられることはありません。
遺言書は「死後」に財産が分けられるため、「ありがとう」という言葉を聞くご本人がこの世におられません。

生前贈与であれば、子供や孫の喜ぶ顔や感謝の言葉が直接伝わります。

2 . 子供や孫への生活援助になる

例えば、子供や孫が次の状況のときには多額の現金が必要となります。
・住宅を購入するとき
・住宅ローンの繰上返済をするとき
・子供や孫の教育資金

このようなときに、生前贈与という形で子供や孫へ経済的な援助を行うことができます。

住宅の購入を考えるタイミングとして、子供(相続税対策が必要な方から見ると、孫)が産まれたため、これまでの住まいが手狭になってきたということもあります。
住宅を購入するには、一般的には頭金を準備することになります。
また、住宅購入後には住宅ローンの繰上返済が行われることも一般的です。

子供(孫)が産まれるということは、必然的に教育資金の準備を考えるタイミングでもあります。
この時期は、住宅ローンの返済と教育資金の準備で家計が最も厳しくなる時期に突入していきます。

このタイミングで生前贈与により資金援助がされることで住宅ローンの金利が少なくなり、その分貯蓄に回すことができますので、家計に余裕が生まれます。

3 . 相続税を払うための現金を確保することができる

例えば、相続税対策が必要な方が賃貸マンションを所有しているとき、この賃貸マンションの家賃収入は相続税対策が必要な方の収入となります。
家賃収入から固定資産税や火災保険料などの経費を差し引き、「もうけ」があれば所得税が課税されます。
この「もうけ」から生活費を支払い、残った現金があれば相続税対策が必要な方の貯金として蓄積されていきます。
相続税対策が必要な方の貯金が増えていけば、相続税を払うための現金が増えるためそれはそれで問題ありません。ところが、当然の事ながらこの貯金に対しても相続税が課税されてしまいます。相続税が課税された後の貯金から相続税を払うことになりますので、資金効率が悪くなるのは言うまでもありません。

ここで、賃貸マンションを子供や孫に生前贈与をすることで、相続税対策が必要な方の貯金として蓄積されるはずだった貯金が、子供や孫の貯金として蓄積されることになります。
相続税対策が必要な方の相続財産が増えることを防ぐことで相続税対策になり、さらに子供や孫の貯金が増えることで相続税を払うための資金を確保することにもなります。また子供や孫の貯金に相続税は課税されませんので、生前贈与をしない場合に比べて資金効率が良くなります。

4 . 所得税・住民税の節税になる

3.に関連しますが、賃貸マンションを子供や孫に生前贈与することで、相続税対策が必要な方の所得税・住民税の節税につながる可能性があります。
例えば、賃貸マンションを生前贈与される方の所得税・住民税の税率が50%であるときに、子供の所得税・住民税の税率が20%であるとすると、単純に税率は30%下がります。

相続税対策が必要な方の税率よりも子供の税率が低いという条件を満たせば、所得税・住民税の節税になります。
場合によっては、健康保険料の削減・医療費の自己負担割合の低下にもつながりますので、日常生活のコスト削減につながる可能性があります。
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